【キャリアを考える】自分に向いた仕事を見つけるためには

ビジネスの最前線で生きてきた実務家である著者による,キャリアに悩むすべての人の役立つ本質的なアドバイスが記された書籍になります.本書では,「もって生まれたもの(自分の特徴)を,どうやってよりよく知り,どうやってそれを最大限に活かし,どうやって自分の人生を幸せにするのか?」を説いています.
書籍はこちらから購入できます.

「やりたいことがわからなくて悩む君へ」

多くの人が就活の際に抱えたことがある「自分のやりたいことがわからない」という悩み.一見すると,社会ではどのような職業選択があるのかを知らないから,経験したことがないから,わからないと思うかもしれない.しかし,本書ではそうではないと言う.
やりたいことが見つからないのは,自分の中に「軸」がないからであり,そしてその軸がないのは,就職を始めるタイミングまでに,自分自身を知るための努力を十分に行ってこなかったことに起因する.

軸というのは,自分の中での判断基準になるものであり,例えば,「地元で安定した生活ができること」,「所望のスキルが習得しやすいこと」,「生涯年収ができるだけ高くなること」など人によって様々である.実際,著者が就活時代にもっていた軸は「経営者に必要なスキルが身につくこと」と「成長のスピードが速いこと」の2つ.
この軸は,自分にとって何がより大事なのかを考えて,自分なりの優先順位をその時々で明確にしていくことで決めていくしかない,つまり他人ではなく,自ら考えて決めるしかない.しかし,将来経験を通じて考えが変わることは普通なので,後々に軸が変化することは恐れる必要はない.
考えても軸が見つからない場合は,どの選択肢を選んでも良いということに他ならないので(どれを選択しても正解なので),悩むのをやめて阿弥陀くじなどで進路を決めてしまうのもいいだろう.

なぜ軸がなかなか見つからないのか

自分のことを知っている度合いをself awarenessというが,日本教育の最大の課題の1つは,このself awarenessに関する教育が足りていないことである.自分が何者で,どんな特徴があって,どんなときに幸せを感じるからどんな職業に就いて,どのような人生を送りたいか,そういうことをほとんど感じせさせない.
だから,高校時代の文理選択でも,自分のことを知る前に,その時点での数学がどの程度できるかで半自動的に決まっている.進むべき大学や学部も,受験の合否と偏差値による世間評価との相場観で,ほとんど受動的に決まっている.結果,self awarenessが未熟なままに(軸が無い状況のまま),就活に臨む人が多い.

君の宝物は何だろう

今の自分を肯定したときに,その今をつくり上げてきた自分の中での特徴や強み(=宝物)はなんだろうか.この「宝物」はすべての人がもっており,他人との比較ではなく,自分の中での比較である.例えば,「人とすぐに仲良くなることができる」,「継続して粘り強く努力できる」なども宝物である.
特徴が「宝物」になるか,逆に弱点になるかは文脈に依るところが大きい.「空気が読めない」と言われる人の特徴が,別の文脈では「場に流されず自己主張ができる」という宝物になる.逆に,「話すことが好き」という特徴は,心療内科での人の悩みをじっくり聴くのには弱点として働くかもしれない.
つまり,キャリア形成で大事なのは,自分の目的達成のために,自分が持っている特徴を認識して,その特徴が強みに変わる文脈を探すことである.
自分の中での宝物探しは他人との比較でないが,現在の資本主義社会においては,社会的評価は自分以外の誰かが下す.そのため,キャリアの成功率を上げるためには,同じような宝物を持った人たちと比較される中で,相対的に秀でていかなければならない.ゆえに,自分の宝物を見つけたら,今度はそれを磨いていく必要がある.(自分の強み,特徴,宝物の見つけ方は別の記事で紹介しようと思います.)

会社と結婚するな,スキルと結婚せよ

会社に依存するのではなく,自分自身のスキルに依存するキャリアの作り方をするべきである.個人にとって,会社はスキルを身につけるための手段であって,目的ではない.
我々がいくら会社に惚れ込んでも,会社は我々と結婚できない.会社は我々の意図とは無関係の利害で存在するため,会社によって都合の良いときに放り出されたり,会社そのものが消滅したり,買収されて違う社風に変わるなんてことはよくあること.10年後,20年後にどうなっているかなんてわからない.会社がどうなろうが,自由に生きていける前提を考える必要がある
スキルこそが,最も維持可能な個人財産であり,キャリア形成において武器になる.以前テレビでGACKTが「今ある資産(家や貯金など)が全て無くなっても,今と同じように再度成功する自信がある.なぜなら,これまで培ってきたスキルがあるから」のようなことを言っていたが,これに尽きると思う.
プロとして十分なスキルを獲得することができれば,主導権は自分に移る.自分のスキルを伸ばす舞台として,我々が会社を選べるようになっていく.
会社と結婚しても結果的に何らかのスキルは身につくだろうが,スキル獲得を目的にしている場合と比べて,獲得するスピードと,獲得できるレベルが全く違ってくる.「私はどこに勤めている」ではなく,「私は何ができます」と言えなくてはならない

不正解以外はすべて正解

多くの人が,成功するためのキャリアはどこかにあるたった1つの正解を掴むことであると勘違いしているが,自分にとってのキャリアの正解はたくさんあることに気づくことが重要.正解がたくさんあるというよりも,むしろほとんどが正解であり,選んではいけない数少ない不正解があるだけで,それを選ばなければ良い.
自分の特徴を活かせる環境というのは山ほどあるため,そのような会社を自分なりに見極めていけばよい.仮に,思っていたものと違っていれば,別の会社に行けば良いだけのことである.
逆に,不正解とは,自分にとって決定的に向いていない仕事に就いてしまうことである.それは,自分の特徴(宝物)が裏目に出るかつ自分にとって情熱がどうしても湧いてこない仕事のことを指す.
このような不正解の選択肢を選んでしまうのは,自己分析不足に起因することが多い.自己分析をしっかりして軸が明確ならば,面接の段階が上がっていく中で,相手企業に自分の向き不向きがちゃんと伝わるはずである.相手企業もリクルーティングには相当な費用をかけているわけで,適材適所の原則の真逆に我々をわざわざ置くなんてことは通常はない.

別人格を演じるのは不幸の始まり

内定を取るために,別人格を演じるのは不幸の始まりである(自分の人格の延長でその特徴を誇張するのは良い).会社が正しく我々の特徴を把握していなければ,会社との間に無理が生じ,それは遠くないうちに破綻する.良いキャリア形成においては,自分にとっての数少ない不正解さえ避ければ良いわけなので,別人格はその珍しい不正解をわざわざ呼び寄せていることにほかならない
本当に別人格を演じないとどこにも採用されないようであれば,それはもはや面接のテクニック云々の問題ではない.そもそも就活までの二十数年間をどう過ごしておくべきだったかという人生の反省が必要であり,もはや短期でどうなるものでもない.本当に自分の強みで勝負して内定を1つも取れないなら,それでも自分が社会の役に立てる働き方を必死に探して,そこから自分の強みを縦に伸ばして人生を仕切りなおして行けば良い.

ここまでのまとめ

・キャリア形成においては,自分の中の判断基準である「軸」をもつことが大事
・自分の強みである「宝物」をみつけ,それが活きる環境を探す
・資本主義社会では,他者からの評価で社会的評価はなされるため,宝物は常に磨いておく必要がある
・自分の強みが裏目となる環境(不正解)を選ばなければ,キャリア形成においては十分成功である

続いて,学校では教えてくれない世界の秘密について簡単に説明する.社会について知ることで,より良いキャリアの選択をすることができるはずである.

学校では教えてくれない世界の秘密

そもそも人間は平等ではない

我々はみんな違って生まれてきている.例えば,生まれつき背の高い(低い)人,太りやすい(にくい)人,運動神経の良い(悪い)人などを見れば,決して皆が同じ能力を持って生まれてくるわけでないことがわかる.そして,経済的格差を生みやすいのが,生まれつきの「知力の格差」である.
東大生の親の平均世帯収入が多いのは,知力が高いからであり,その子どもも親の遺伝子のおかげで知力が高く生まれる確率が高い.それら先天的な格差に加えて,後天的に恵まれた教育環境でその差を増幅することは間違いない.このように,そもそも人間は平等どころか,本人の意思に関係なく,スタートラインから不公平で残酷な差がいくらでもあり,最初から自分のスペックはほとんど決まっている

しかし,その先天的な特徴,後天的な特徴,その組み合わせは一人ひとりが極めてユニークなものを持っている.ゆえに,自分のユニークさをちゃんと認識し,それを磨けば特別な価値を生む可能性があることに他ならない.大事なのは,自分の特徴をより早くより明確に認識し,その特徴が活きる環境を探して泳いでいくことである.つまり,我々がコントロールできるのは,1. 自分の特徴の理解,2. それを磨く努力,3. 環境の選択,最初からのこの3つしかなく,この事実を直視することがキャリアを築き上げるのに大切なスタートラインとなる.

資本主義の本質とは何か

我々が暮らしているこの社会は資本主義社会であるため,資本主義について理解することで,キャリア形成において役立つはずである.
資本主義の本質とは「人間の欲」であると筆者は述べている.例えば,「より便利でより快適な暮らしがしたい」という欲のベクトルは,人類の歴史において逆行したことがなく,この欲をエネルギー源として,人々を競争させることで社会を発展させるのが,資本主義社会である.
そして,資本主義社会においては,大きく分けると2種類の人間しかいない.それは,自分の24時間を使って稼ぐ人と,他人の24時間を使って稼ぐ人である.前者をサラリーマン,後者を資本家と呼ぶ.そして,資本主義とは文字通り,後者の資本家のためにルールが作られた社会である.そのため,サラリーマンとして過ごした人生と,資本家として過ごした人生とでは,生涯年収の桁数がいくつも違う結果となっている.色々な面で資本家の方が優遇されるためである.

では,なぜ全員が疑いもなくサラリーマンを喜んでやっているのか?それは,日本の教育システムが大量の優秀なサラリーマンを生産するように作られているため,普通に教育を受けているだけでは,自分の外の世界(資本家)に気づくことができないためである.つまり,良い成績をとって,良い大学を出て,大きな会社に入って,安定した生活を送る,それが幸せな成功者の目指す道だと,教えられることが多い.
ここで伝えたいのは,サラリーマンではなく資本家を目指せ,ということではなく,サラリーマンの外に資本家の世界があることを知った上で,自分を活かす環境がサラリーマンなのか,資本家なのかを見極められることが大事ということである.

我々の年収を決める法則

我々の年収を決めるファクターは,持っているスキルの価値,業界の構造,成功度合い,の3つである.自分が持っているスキルが希少かつ価値のあるものであれば,年収は高くなるだろう(例えば,医師免許).また,就職する業界がお金を払える業界であれば,年収も当然高くなる(現在のAIブームなどが良い例).また,その業界の構造も大事である.例えば,プロ野球選手の平均年収がプロサッカー選手の平均年収よりも高いのは,プロ野球の方が1年に多くの試合(イベント)を行えるという構造があるからである.最後は,説明しなくてもわかりやすいと思うが,どの程度成功したかである.
以上の3つの要因を組み合わせて,人の年収は決まっている.そのため,就職や転職をする際には,どのスキルを磨くのか,どの業界を選ぶのか,そして自分がどの程度成功できるそうなのか,を考えることが大事である.
特に転職に関して言うと,現在いる自分の会社から同業界の似たようなポジションで別の会社に転職するという選択は,年収という観点では同じような給料しかもらえないことが多いことになる.年収を上げるために転職するならば,「自分のスキルが活きる」かつ「もっと給料が払える他業界へ転職する」というのが正しい選択になる.

上記の年収の法則を踏まえた上で大事なのが,それでも自分にとって情熱を持てる好きな仕事を選ぶべきということ.それは,好きでないと3つ目の成功度合いを上げることが難しいからである.仕事というのは基本的に辛いことのほうが多く,お金のために好きでもない仕事を選んでも成功できる可能性は低い.どの業界だろうが,どの仕事だろうが,その世界で成功すること(プロになること)がキャリア形成において重要である.どの業界でもある程度のプロになれば,それまで培ったスキルと実績を土台にして,業界の構造を飛び越えてスキルのステップアップが可能になる.例えばカレー屋で成功したならば,そのノウハウ自体を売るビジネスにステップアップしたり,フランチャイズ・カレーチェーンのオーナー社長という別次元の仕事に就くこともできる(CoCo壱番屋が良い例).

会社の将来性を見極めるコツ

多くの人は安心と安定を求めて,東証一部の会社やよく名前が知られた会社に集まるが,その考え方は正しいだろうか.もし本当に安定したいのであれば,今の大企業に入るのではなく,将来の大企業に入った方が良い.今は小さくても,将来大企業になるような会社に入れれば,会社とともに成長でき,経験できる質と量という意味で,キャリアは他の人に比べて豊かになる可能性は高いからである.
では,そのような将来の大企業や中長期にわたって安定する企業をどう見極めれば良いのだろうか.以下でいくつか紹介しよう.

持続可能な「需要」の有無をみる
まず注目すべきなのは,需要の変化である.その社会の主な売上を支えている市場の需要がどれだけ将来にわたって安定してあり続けるのか,という観点である.例として,自動車産業を需要という観点から考えてみよう.
原則として,市場の需要は大きな目でみると必ず消費者の欲に従う,ということに注意が必要である.つまり,消費者は必ず「より便利でより快適なもの」を求め続け,世の中の産業は消費者が求めるその方向へ動かざるを得ないのが実情である.
では,自動車産業はどうなるのか.1つの可能性として,自動車需要は先細ることが考えられる.そもそもマイカーを保持し,自分で運転することが金銭的にも身体的にも負担であることを考えると,AIによる自動運転が普及した場合,自動車需要は大きく先細ることが考えられる.
もし自分で運転すること自体に価値を置く消費者が大半だったならば,MT車に対してAT車がこれほど普及することもなかったはずだろう.高齢化が進むという観点でも,自分の判断力や運転能力に依存しないと移動できないよりも,AI時代はきっと快適で便利で事故も少なくなっているに違いない.自分で運転などしない,マイカーなど要らない,必要なときに好きな自動車に自分を迎えに来させる、そんな時代がやってくる.
そう仮定すると,次世代への備えがどうかという観点である程度ならば個別の企業の未来の予測をたてることができる.自動運転に関して言えば,現在のAIは膨大なデータを必要とし,Googleなどの巨大なテックカンパニーがそれらのデータ蓄積および技術開発を行っているため,伝統的な自動車会社に比べて随分先行しているようにみえる.
このように,様々な情報の手がかりを集めて,自分なりに自分が検討している企業の主な売上の未来の需要,そしてその企業が開拓しようとしている新規ビジネスの未来の需要,それらを考えるのが大事である.

持続可能な「構造」の有無をみる
2つ目のコツとして,その需要から持続的にシェアを取り続けるための「構造」を見極めることが重要である.わかりやすい例として,東京ディズニーリゾートを考えよう.
東京ディズニーリゾートの強力なシェアの源泉は何か.それは,「ディズニーブランドというオリジナルのコンテンツ力」である.そして,ディズニーを陳腐化できるようなブランドが関東圏に出現する可能性は小さく,またディズニーブランドを使った競合の同商圏での出店は契約で封じられている.さらに,ディズニーリゾートほどの規模をもった直接投資を実行できる競合出現の可能性もそもそも小さい.これらのことを考えると,東京ディズニーリゾートは,持続可能な強力な構造をもっているとみなすことができ,需要が存続するならば中長期で東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)は関東圏で強力かつ安定した企業として君臨する未来が予想できる.
もう一つの例として,コカ・コーラを挙げよう.彼らの売上を支えている構造は,「その圧倒的な規模」である.例えば,競合となる企業を起業し,コカ・コーラに対抗しようとしても,世界中の製造から流通までの圧倒的な規模で支配する彼らに対し,利益の出るビジネスモデルを構築することが難しい.なぜなら,コカ・コーラの規模だからできるコスト構造に対して,同じような消費者価格で,巨額の予算を投じて長期間にわたる大幅赤字覚悟の勝負を仕掛けることは非現実的であるからである.そして,人間の喉が渇く限り,世界の人口が増え続ける限り,コーラとしての需要は先太いのも強みである.

資本主義社会や年収の法則を把握し,安定した企業を見極めたとしても,結局は自分の目的に合致するかどうかが最重要なため,目的に合わない就職や転職は意味が無いことに注意が必要である.そのため,自分のキャリアの目的を明確にすることが何よりも重要となる.

 

自分の強みをどうやって知るか

続いて,キャリア(人生)を成功させる上で大切になってくる「自分の強み」をどう知るか,について解説します.

まずは目的を立てよう

もし,自分の人生にとって達成したい「夢」があるならば,それを「人生の目的」として立てて,その目的を達成するために自分のキャリアがどうあるべきかを考えれば,自然にキャリアの目的は明確になってきます.
もし,達成したい夢が思いつかないならば,「どんな状態」であれば自分はハッピーなのかという未来の理想状態を考えることで,目的というものが設定できる.
例えば,「将来は5人家族がいて,ちゃんと家族を養える自分でいること」が未来の理想である場合,その理想状態を実現するために「必要なこと」は何かを考えていく.この場合だと,「ある程度稼ぐ必要があり,ある程度稼ぐためには,自分に向いたある程度稼げる職に就かねばならず,その職に就くにはそれ応じた能力が必要で,その能力を身につけるには,そういう経験が積める学校(大学)に行くのが良い」,というように一つずつレイヤーを降ろしながら考えていく.
この場合,キャリアの目的は「ある程度稼げること」であり,そのための戦略は「1.必要な能力が身につく大学に進学,2.自分に向いているある程度稼げる職に就く」となる.ここに,前回までに説明した,自分の強み(宝物)を踏まえた戦略も考慮することで,更に良いキャリア戦略となる.

自分の強みをどうやって見つけるのか

上記で設定したキャリア戦略で明暗を分けるのが,自分の強みをどれだけ早く見つけて,武器として認識して,それを磨いて伸ばしていくことに集中できるか,である.では,自分の強みはどうやって見つけるのだろうか.
自分の強みは,「自分の特徴とそれを活かす文脈がセット」になって発揮されることが多い.そのため,強みを見つける最大の近道は,社会との関わりで気持ちよかった文脈(自分な好きなことをしている文脈)をどんどん列挙することである.好きなことをしている文脈こそ,我々の特徴が強みとしてすでに発揮されている可能性が高いからである.例えば,話すことが好きになっているのは,過去に多くの人に話しかけて良い反応があったという経験があるからこそ,話すことが好きになっている可能性が高い.
ゆえに,自分にとって好きな「〜すること」こそが,自分に良い結果をもたらしたに違いなく,その動詞こそが自分の強みである.例えば,「考えることが好き」,「努力することが好き」,「分析することが好き」,「話すことが好き」,「何かを達成することが好き」などである.自分の好きな「〜すること」という動詞を大量に書き出すことで,どのような強みが自分にあるかを判断することができる.

そして,強みを認識することでどのような業界が自分に適しているのかを大まかに捉えることができる.例えば,「考えることが好き,問題を解くのが好き,知ることが好き,予想を当てるのが好き」のような人は,知的好奇心をガソリンにして考える力を磨き,より大きな結果を出す,その好循環でキャリアを作っていくのが基本戦略となる.ファイナンスや士業,研究職,マーケティングなどが向いている職業になる.そのほか,「人と会うことが好き,話すこと・聴くことが好き,SNSで多くの人と繋がることが好き,オシャレを楽しむことが好き」のような人は,強い対人コミュニケーションを武器に使い,人と人とを繋げることで新たな価値を生み出していく職能において秀でていくのが基本戦略になる.プロデューサー,営業職,広報,政治家など人脈構築力がものを言う職業が向いていることになる.


考えるべきは一点で,自分のどんな特徴がその職能で活かせそうか,である.まずは,自分を知り,自分の特徴を活かせる職能を選び,その職能を積める戦場へ進むべきである.就職するならば,身につけたい職能で配属してくれる会社を選ぶべきである.逆に,避けた方が良いのは自分にどんな職能が身につくのか想像がつかない会社である.自分の凹凸がわからなければ,自分のどの能力に集中して投資すべきかがわからない.時間や精神力や体力には必ず限界があるので,戦略なきキャリアは間違いなく失敗する

特徴(強み)と環境がフィットすると,人の可能性は大きく開花することが多い.つまり,ナスビにはナスビに適した土壌があるということ.ナスビを合っていない土壌の事情に無理やり合わせたり,ましてキュウリにしようとしても上手くいかない.自分がナスビなら立派なナスビへ,キュウリなら立派なキュウリになるように,努力を積み重ねれば良い.
ゆえに,自分の特徴を良く理解し,強みを磨いて,その強みがより活きる環境へ泳いでいけば,自分の可能性はより大きく花開いていく.そのためにも,自分のキャリアの目的と強みを理解しよう.

自分自身をブランディングする

キャリア形成において大事になってくる,「自分自身をブランディング」することについて,本書をもとに簡単にまとめてみました.

自分自身のブランドである「My Brand」を設計すべき

ブランドとは,「ディズニー」や「トヨタ」のように,その記号が人間に想起させる「意味」であり「価値」のことを指す.「トヨタ」が壊れにくい安定した信頼性をブランドイメージとして,我々の頭の中に確立できているからこそ,トヨタの車が世界中で売れている.これと同じように,自分自身をブランディングすることで,自分が自分らしく活躍できる業界で成功できる確率を上げることができる.

自分をブランディングするために必要なものは,以下に示すようなブランドの設計図であると本書では紹介されている.

画像1
本書「苦しかったときの話をしようか」から引用.

攻略する市場(環境)
まずは,自分がターゲットとする市場を1番上に書く.これは,これまでに考えてきた自分自身の強みが活きる業界が該当する.この設定は,目的と自身の能力と照らし合わせて,広すぎず,狭すぎず設定することが大事である.そのため,人によって,「金融業界」,「マーケティングが習得できる会社」,「女性が働きやすい職場」のように攻略すべき市場は多種多様である.

WHO:「誰に」買ってもらうのか
続いて設定すべきなのは,自分のリソースを集中的に投入すべきターゲットである.このターゲットは,戦略ターゲット(ST)とコアターゲット(CT)の2つに分けられ,コアターゲットは戦略ターゲットの中でも特に集中してリソースを割くべき対象を示している.
例えば,キャリア目的達成のために,ある企業Aに就職したいと考えたとき,戦略ターゲットは相手企業の関係者全員,コアターゲットは担当面接官や自身と関係のあるOB・OG,となる.WHOを明確にすることで,誰の頭の中に,自分自身の価値(ブランド)を植え付け,自分を買ってもらう(雇ってもらう)必要があるのか意識することができる.

WHAT:「何を」買ってもらうのか
WHATはブランドの「便益(価値)」である.ブランディングする上では,誰に(WHO),どのような価値(WHAT)を提供するのかを意識しないといけない.そのため,あくまでもWHOで定義したMy Brandの購入者にとって,価値があることが重要となる.ターゲットが,価値があると信じるにはRTBと呼ばれる根拠となるエビデンスが必要となる.資格やこれまでの経験がRTBに該当する.
このWHATがブランド設計において最も重要となる.つまり,定義された価値そのものが強いことが最も大事なポイントであり,WHOに選ばれる観点において他人と比べて差別化されていることが重要となる.なぜなら,相手にとって十分な価値のあるWHAT(価値)になっていないと,先方は我々に魅力を感じないからである.また,自分の価値を相手に信じ込ませるエビデンスとなるRTBも十分に揃えておく必要がある.ゆえに,意識すべきなのは,価値とRTBの掛け算となる.

HOW:「どうやって」買ってもらうのか
HOWは便益(価値)を提供するための手段のことである.例えば,WHATで「リーダーシップに優れている」ということを売りにしている人であれば,リーダーシップを発揮する具体的なやり方を,WHOのターゲットにとって想像しやすいように具体的にHOWで定義する.「困難な状況でも人のモチベーションを上げることが得意」とか「感情に流されずに正しい判断をする姿勢が常に一貫している」など,WHATを具体化するスタイルを設定する.
ブランドキャラクターは,そのブランドを人格に見立てたときに,ターゲット(WHO)からどのような人柄だと思われたいかを定義している.擬人化したブランドの性格を定義する形容詞を設定する.

繰り返しになるが,上記のブランドの設計図が納まるのは,WHOで定義したターゲットの頭の中.購買者の頭の中に上記の三角形を刷り込んでいくのがブランディングとなる.

そして,自分の設計図を推敲して完成させたとする.その次にすべきことは,ブランドの設計図に書かれた自分とできるだけ一貫した行動をとること.徹底的に一貫した行動をとることで,自分自身に思い込ませ,自分のブランドを確立していくことが重要となる.
思いのほか,自分をブランディングするというのはシンプルである.自分の強みを踏まえてブランドを設計したら,精一杯努力して,その理想に近づくように行動を積み重ねていくだけである.社会からの評価において最重要となるのが,「問答無用な実績」であるため,我々がまず躍起になるべきは,ブランドを構築する一貫した行動と,結果を出すことにこだわること,の2点となる.

自分自身のブランディングすることが,自分のキャリア戦略における最重要な指針として機能し,どんなスキルを身につけるべきなのか,どんな業界でどんな実績を積んだ方が自分は強くなるのかが,その都度明確になる.結果として,自分の名前で勝負できるビジネスパーソンになれる確率を激増させる.

まとめ

  • 自分の強み(特徴)を知る
  • 自分の強みが生きるスキルや職種,環境を探す
  • その環境で自分のスキルをひたすら磨く
  • 常に,自分の目的(軸)を意識し,自分をブランディングする
タイトルとURLをコピーしました